2012年11月
2012年11月30日
各政党の代表がテレビで討論する。
ウソつきはすぐにわかる。
でもどんくらいのひとが
それに気付いているのかわからない。
そこがとても不安だ。
耳にやさしいことばだけじゃないぞ。
理想と現実。
世の中を変えたい気持と
皆を豊かにすることは相容れない。
清濁併せ持つ気持が無ければ多くの
民に幸福をもたらせはできないだろう。
小異を捨て大道?
装衣を捨てた大道芸人ではないのか。
実現できない事をさもできそうに語るのには
もう、うんざりしているんだ。
奴らが、権力を持てば出来そうな気がしていたとしても
できないものはできないのである。
現実に即して未来を直視している人は
私にはたったひとりに見える。
日本を担う気持があるからこそ
耳にやさしいだけのキャッチコピーは語らない。
いや、語っちゃいけないのである。
公約は果たすべきだから。
ウソつきはすぐにわかる。
でもどんくらいのひとが
それに気付いているのかわからない。
そこがとても不安だ。
耳にやさしいことばだけじゃないぞ。
理想と現実。
世の中を変えたい気持と
皆を豊かにすることは相容れない。
清濁併せ持つ気持が無ければ多くの
民に幸福をもたらせはできないだろう。
小異を捨て大道?
装衣を捨てた大道芸人ではないのか。
実現できない事をさもできそうに語るのには
もう、うんざりしているんだ。
奴らが、権力を持てば出来そうな気がしていたとしても
できないものはできないのである。
現実に即して未来を直視している人は
私にはたったひとりに見える。
日本を担う気持があるからこそ
耳にやさしいだけのキャッチコピーは語らない。
いや、語っちゃいけないのである。
公約は果たすべきだから。
2012年11月29日
ジョージのソロアルバムには興味がなかった。存命中
聴いたのは「クラウドナイン」と「33 1/3」の2枚だけ。
彼の作品のすばらしさを知ったのはここ最近の事だから
後追い感は否めない。
しかし
ポールもジョンもビートルズの頃が最高なのに
ジョージは1966年頃からずっとすばらしいのだ。
進化し続けているのだ。
和音もその進行具合もすばらしいが
そこにのっかる歌詞の深さは
若い頃にはきっとわからなかっただろう。
きっと、ベストなタイミングで出会ったのだ。
好きな曲はたくさんあるが
「Isn't it A Pity」
この曲はオリジナル曲のように
クラプトンが今も歌い続けてて
そんな友情にもホロっとしてしまう。
2012年11月28日
2012年11月27日
ハワイ島からのお届けもの。
うれしいプレゼントだ。
バナナの葉なのか手編みの
とってもすてきな器。
さっそくパイナップルを入れた。
良い感じだ。
ちょびっとのご縁をたいせつにする
その姿勢に感動した。
Much Mahalo、
Denis & Yoko!
One Love、One Heart.
うれしいプレゼントだ。
バナナの葉なのか手編みの
とってもすてきな器。
さっそくパイナップルを入れた。
良い感じだ。
ちょびっとのご縁をたいせつにする
その姿勢に感動した。
Much Mahalo、
Denis & Yoko!
One Love、One Heart.
2012年11月26日
2012年11月25日
2012年11月24日
2012年11月23日
山内'Alani'雄喜さんのライブは
理想のライブだった。
本当にすばらしかったのである。
私の理想とするレストランのライブは
食事や会話を愉しみつつ鳴っている
BGM以上Live未満。
わかり難いか。
CD並のクオリティなのに
その500倍の音の拡がりだ。
最高の音楽をバックに
時間と空間と料理を愉しんで
いただけたなら至幸の歓びなのである。
嗚呼、こんなライブがして欲しかった。
そんな感じである。
最高の夜。
厨房に入ってお料理してた時ですら
心地良く響いてきたのである。
次回はGW前後になるだろうが
たのしみにしていて欲しい。
今回集ってくれたお方々には
こころから感謝申し上げるものである。
Much Mahalo!
理想のライブだった。
本当にすばらしかったのである。
私の理想とするレストランのライブは
食事や会話を愉しみつつ鳴っている
BGM以上Live未満。
わかり難いか。
CD並のクオリティなのに
その500倍の音の拡がりだ。
最高の音楽をバックに
時間と空間と料理を愉しんで
いただけたなら至幸の歓びなのである。
嗚呼、こんなライブがして欲しかった。
そんな感じである。
最高の夜。
厨房に入ってお料理してた時ですら
心地良く響いてきたのである。
次回はGW前後になるだろうが
たのしみにしていて欲しい。
今回集ってくれたお方々には
こころから感謝申し上げるものである。
Much Mahalo!
2012年11月22日
2012年11月20日
2012年11月19日
2012年11月18日
お客様から「ブログで紹介してた本。
めっちゃおもしろかった」などと
喜んでいただくと共有できて
とっても嬉しい私である。
こんな私でもお役に立てて光栄だ。
しかしながら、である。
時男と計子のその後を聞かれると
くすぐったいので禁止したい。
そこんとこヨロシクである。
さて、私のクリスマスの定番は
この何十年と変わっていないのだが
今さらながらご紹介したい。
カーペンターズのクリスマスポートレイトだ。
鉄板である。30年以上経っても色褪せないカレンの歌声。
YouTubeではどうやらそのテレビ番組が
フルサイズで見られるので音源はほぼいっしょであり
そちらもおおいにお薦めである。
クリスマスの飾り付けなどしながら聴くと
気分はモリモリにアップするのではないかな。
The Carpenters at Christmas (1977) Complete TV Special
めっちゃおもしろかった」などと
喜んでいただくと共有できて
とっても嬉しい私である。
こんな私でもお役に立てて光栄だ。
しかしながら、である。
時男と計子のその後を聞かれると
くすぐったいので禁止したい。
そこんとこヨロシクである。
さて、私のクリスマスの定番は
この何十年と変わっていないのだが
今さらながらご紹介したい。
カーペンターズのクリスマスポートレイトだ。
鉄板である。30年以上経っても色褪せないカレンの歌声。
YouTubeではどうやらそのテレビ番組が
フルサイズで見られるので音源はほぼいっしょであり
そちらもおおいにお薦めである。
クリスマスの飾り付けなどしながら聴くと
気分はモリモリにアップするのではないかな。
The Carpenters at Christmas (1977) Complete TV Special
2012年11月17日
2012年11月16日
2012年11月15日
2012年11月14日
2012年11月12日
『日本のワイナリーに行こう 2013』
すばらしい情報量だぞ、この本は。
永久保存版なのではないだろうか。
いつかここに書いたとは思うが
私がワインに関わる仕事をしているのは
勝沼の生産者との触れ合いが原点だ。
そう。4半世紀以上前になるが
ドイツワインに不凍液を混ぜたものが
市場に出回ると云う事件があった。
そんな頃にはワインを飲む人口は少なくて
導入部分としてのドイツワインの
その理屈抜きに「おいしい!」といえる
魅力に惹かれ、当時働いていたお店が
ワインバーをオープンしたのに
いきなりの逆風が吹いたのだ。
それでどうしたかといえば
安心安全なワインを探す旅に出たのだ。
私のワインの師匠の提案である。
当時の私は彼に対し返事は「はい」か「Yes」の
ふたつの選択肢しかなかったので
勝沼まで運転したのである。
最初、今はないが一宮農協というところで
生産者の生の声を聴いた。
いかに生産者がまじめにワイン造りに取り組んでいるのか
そしてその結果をもとにあたらしい年に対して、つまり
1年単位でしか実験ができないと云う事も踏まえて
彼らの葡萄に対する真摯な姿勢にこころ打たれたのだ。
そしてそのロケーション。
ふつう山といえば杉の木が茂っているイメージなのだが
山の斜面そのいちめんが葡萄の樹と云う
想像を超えた風景にもド感動したのである。
「生産者の気持ちを伝えなくっちゃ!」
そう思わせてくれたのは勝沼の方々なのである。
この本を見てたら、初心に返ってしまい
感動で涙が流れた。
ワインを飲んだことのある人ならすべて
そう、すべての人たちに勝沼に限らず
ワイナリーを訪れてみて欲しいのである。
ワインは工業製品ではなく農作物なのだと
感じる筈だし、その生産者の苦悩や心意気に
きっとこころ打たれると思うのだ。
この本を手に取ったらその30%くらいは
理解できると思うぞ。そして
興味を持ったらぜひぜひ足を運んで
その空気、湿度、そして生産者の醸す
独特な世界に是非とも触れて欲しい。
足を運ばないとわからないすばらしい世界があるのだ。
すばらしい情報量だぞ、この本は。
永久保存版なのではないだろうか。
いつかここに書いたとは思うが
私がワインに関わる仕事をしているのは
勝沼の生産者との触れ合いが原点だ。
そう。4半世紀以上前になるが
ドイツワインに不凍液を混ぜたものが
市場に出回ると云う事件があった。
そんな頃にはワインを飲む人口は少なくて
導入部分としてのドイツワインの
その理屈抜きに「おいしい!」といえる
魅力に惹かれ、当時働いていたお店が
ワインバーをオープンしたのに
いきなりの逆風が吹いたのだ。
それでどうしたかといえば
安心安全なワインを探す旅に出たのだ。
私のワインの師匠の提案である。
当時の私は彼に対し返事は「はい」か「Yes」の
ふたつの選択肢しかなかったので
勝沼まで運転したのである。
最初、今はないが一宮農協というところで
生産者の生の声を聴いた。
いかに生産者がまじめにワイン造りに取り組んでいるのか
そしてその結果をもとにあたらしい年に対して、つまり
1年単位でしか実験ができないと云う事も踏まえて
彼らの葡萄に対する真摯な姿勢にこころ打たれたのだ。
そしてそのロケーション。
ふつう山といえば杉の木が茂っているイメージなのだが
山の斜面そのいちめんが葡萄の樹と云う
想像を超えた風景にもド感動したのである。
「生産者の気持ちを伝えなくっちゃ!」
そう思わせてくれたのは勝沼の方々なのである。
この本を見てたら、初心に返ってしまい
感動で涙が流れた。
ワインを飲んだことのある人ならすべて
そう、すべての人たちに勝沼に限らず
ワイナリーを訪れてみて欲しいのである。
ワインは工業製品ではなく農作物なのだと
感じる筈だし、その生産者の苦悩や心意気に
きっとこころ打たれると思うのだ。
この本を手に取ったらその30%くらいは
理解できると思うぞ。そして
興味を持ったらぜひぜひ足を運んで
その空気、湿度、そして生産者の醸す
独特な世界に是非とも触れて欲しい。
足を運ばないとわからないすばらしい世界があるのだ。
2012年11月11日
2012年11月10日
『スイッチオンの生き方』
どういうわけだかカウンターに湧いた。
木曜日の夜である。帰ろうと思ったら
カウンターにこの本を見つけた。
確認したが、その日カウンターにいた人は
この本を知らないのである。
湧いたのである。
しかも私は著者の講演を2007年に聴いている。
どうして湧いたのかはわからないが
とりあえず読んでおいた。
2007年のそのままである。
すでに自分の中に溶け込んでいるので
「いまさらそんなの常識じゃん」という
上から目線で読んでいる自分を
冷静に俯瞰した時。
厭な奴だと思ったぞ。
Swich on!しないとな。
いつ忽然と消えるかたのしみである。
どういうわけだかカウンターに湧いた。
木曜日の夜である。帰ろうと思ったら
カウンターにこの本を見つけた。
確認したが、その日カウンターにいた人は
この本を知らないのである。
湧いたのである。
しかも私は著者の講演を2007年に聴いている。
どうして湧いたのかはわからないが
とりあえず読んでおいた。
2007年のそのままである。
すでに自分の中に溶け込んでいるので
「いまさらそんなの常識じゃん」という
上から目線で読んでいる自分を
冷静に俯瞰した時。
厭な奴だと思ったぞ。
Swich on!しないとな。
いつ忽然と消えるかたのしみである。
2012年11月08日
「ありがとう」と言ったり言われたりは
とっても素敵な事であり、できるだけ
たくさんのありがとうを言われたい。
そこで気をつけたいのは
「ありがとうございました」は
過去形だと云う事である。
この日本語の使い方をご存知ない輩は
意外に多いのであり、かつてイベントの
冒頭の挨拶でお偉いさんが「本日は
ご多用の中お集まり頂きまことに
ありがとうございました」と始めた。
おいおい終わっちゃうのかよ。である。
「ありがとうございます」というべきだ。
接客をしているとコース料理などで
ひと皿下げるごとに「ご馳走様でした」などと
言われると「えっ?」なのであり
「もう要らんのかよ?」と聞きたくなる。
たしかにその料理に関しては過去のものだが
お食事は道半ばである。
お客様には日本語の使い方をじょうずに教えられないので
これを読んだ人はおともだちが間違えて使ったら
即刻教えてあげて下さいませ。である。
とっても素敵な事であり、できるだけ
たくさんのありがとうを言われたい。
そこで気をつけたいのは
「ありがとうございました」は
過去形だと云う事である。
この日本語の使い方をご存知ない輩は
意外に多いのであり、かつてイベントの
冒頭の挨拶でお偉いさんが「本日は
ご多用の中お集まり頂きまことに
ありがとうございました」と始めた。
おいおい終わっちゃうのかよ。である。
「ありがとうございます」というべきだ。
接客をしているとコース料理などで
ひと皿下げるごとに「ご馳走様でした」などと
言われると「えっ?」なのであり
「もう要らんのかよ?」と聞きたくなる。
たしかにその料理に関しては過去のものだが
お食事は道半ばである。
お客様には日本語の使い方をじょうずに教えられないので
これを読んだ人はおともだちが間違えて使ったら
即刻教えてあげて下さいませ。である。
2012年11月06日
2012年11月05日
2012年11月02日
時男はとても嫉妬深いところがある。
そんなところも含めて計子は時男とは
決して離れる事ができないと考えている。
おおきな声では言えないがジェラシーから
暴力をふるわれた事もある。しかし
置きかえて考えたのなら、それは
深い愛情でもあり強い独占欲は
幼児性でもあり彼女の母性をくすぐった。
ごめんよごめんよ、と涙をポロポロ
流しながら謝る彼を抱きしめていると
私以外にこの人を包んであげられる人なんて
この世にいないのだとこころから思ってしまうし
短気なところも長所として捉えたのなら
人一倍素直なのだと考えられる。
計子は仕事ができる。
しかも余暇には自分磨きを怠らない。
セルフモチベーションがつよくはたらくので
たいていの男性は自分には荷が重いと感じてしまうのか
仲間として見てしまうのか良い飲み友達になっても
恋愛関係にはなかなか発展しないタイプだった。
美人でありスタイルも良くおしゃれで健康的なのに
どうして彼氏のひとりもいないのか、と
女友達によく不思議がられたものである。
ところが時男は違っていた。持ち前の甘えん坊な
人懐っこさを隠そうともせず出会った瞬間から
ふたりきりでいる事を好んだのだ。
ひとに甘え、そして甘えられる快感に痺れた。
必要とし必要とされる事ってこんなにしあわせなんだと
こころから思えた。
出会って1年後。ふたりでハワイへ出かけたのは
フラを踊る計子には自然なことだった。
その1年のあいだに2度ハワイにフラを勉強するために
出掛けてはいたものの、行くたびに見るもの見るもの
すべて時男に見せてあげたくなってしまう。
この空、この空気、海や雲やハワイ人のホスピタリティ
自分がすばらしいと思えるすべてを時男と共有したかった。
それが叶って眩しい光の中、ふたりはアラモアナを歩いていた。
彼はふと時計屋の前で立ち止まった。
「少しだけ見ても良いかな」
時男には身分不相応ともいえる高級店だが
リゾート地なのだし計子といっしょなら抵抗がない。
以前から欲しかったクロノグラフが目に留まると
そこから動けなくなってしまった。その機能美は
ひとを釘付けにしてしまう魅力があるのだ。
「ねぇ、ふたりの1年の記念にこの時計をプレゼントする」
「こんな高価なもの貰えるかよ。欲しかったら自分で買うさ」
「このあいだのプレゼンが見事に決まっちゃって言ってなかったけど
ボーナスしこたま入っちゃったんだ。あぶく銭は形に換えないと
いつの間にかなくなっちゃうものなのよ。だからもらってよ」
日焼けした時男にそのスイス製の重厚なクロノグラフは似合った。
帰りの飛行機でとなりで眠る彼を眺めていると、なんだか彼自身が
ワンランク上の人間になったような気がして計子も満足だった。
ハワイから帰るとふたりの日常が始まった。
楽園の余韻など感じている暇もなくハードワークだ。
夜も更けて帰ってきた計子に時男が言う。
「ね、計子。俺やっぱり仕事上とはいえおまえが
他の男と酒飲んだりするのって耐えられないんだよね」
「ばっかじゃないの。私が浮気するとでも思うわけ」
「おまえ酒が入ると淫らだしさ」
「バカ・・・・・・」
「その色っぽい感じがたまらないんだけど誰にも見せたくないじゃん」
「誰にも見せてるわけじゃないのは時男がいちばん知ってるでしょ。
もう、いい加減にしてね。おこるわよ」
「だからひとつだけお願いを聞いてくれないかな」
「なによ」
「酒の付き合いがある日にはこの時計をしててくれないか」
「・・・・・・」
「もともとおまえの金で買ったんだから酔っ払って失くしても
俺は気にしないしさ、女性がこんないかついメンズウォッチしてたら
普通の男なら口説こうなんて気も起こらないだろうし」
「魔除けなんだ」(笑)
「そんなとこかな」
「いいわよ。そんなのお安い御用よ」
「ずっといっしょだよ」
それ以来、夜出かける時。彼女の腕には
重厚なクロノグラフが光っている。
そんなところも含めて計子は時男とは
決して離れる事ができないと考えている。
おおきな声では言えないがジェラシーから
暴力をふるわれた事もある。しかし
置きかえて考えたのなら、それは
深い愛情でもあり強い独占欲は
幼児性でもあり彼女の母性をくすぐった。
ごめんよごめんよ、と涙をポロポロ
流しながら謝る彼を抱きしめていると
私以外にこの人を包んであげられる人なんて
この世にいないのだとこころから思ってしまうし
短気なところも長所として捉えたのなら
人一倍素直なのだと考えられる。
計子は仕事ができる。
しかも余暇には自分磨きを怠らない。
セルフモチベーションがつよくはたらくので
たいていの男性は自分には荷が重いと感じてしまうのか
仲間として見てしまうのか良い飲み友達になっても
恋愛関係にはなかなか発展しないタイプだった。
美人でありスタイルも良くおしゃれで健康的なのに
どうして彼氏のひとりもいないのか、と
女友達によく不思議がられたものである。
ところが時男は違っていた。持ち前の甘えん坊な
人懐っこさを隠そうともせず出会った瞬間から
ふたりきりでいる事を好んだのだ。
ひとに甘え、そして甘えられる快感に痺れた。
必要とし必要とされる事ってこんなにしあわせなんだと
こころから思えた。
出会って1年後。ふたりでハワイへ出かけたのは
フラを踊る計子には自然なことだった。
その1年のあいだに2度ハワイにフラを勉強するために
出掛けてはいたものの、行くたびに見るもの見るもの
すべて時男に見せてあげたくなってしまう。
この空、この空気、海や雲やハワイ人のホスピタリティ
自分がすばらしいと思えるすべてを時男と共有したかった。
それが叶って眩しい光の中、ふたりはアラモアナを歩いていた。
彼はふと時計屋の前で立ち止まった。
「少しだけ見ても良いかな」
時男には身分不相応ともいえる高級店だが
リゾート地なのだし計子といっしょなら抵抗がない。
以前から欲しかったクロノグラフが目に留まると
そこから動けなくなってしまった。その機能美は
ひとを釘付けにしてしまう魅力があるのだ。
「ねぇ、ふたりの1年の記念にこの時計をプレゼントする」
「こんな高価なもの貰えるかよ。欲しかったら自分で買うさ」
「このあいだのプレゼンが見事に決まっちゃって言ってなかったけど
ボーナスしこたま入っちゃったんだ。あぶく銭は形に換えないと
いつの間にかなくなっちゃうものなのよ。だからもらってよ」
日焼けした時男にそのスイス製の重厚なクロノグラフは似合った。
帰りの飛行機でとなりで眠る彼を眺めていると、なんだか彼自身が
ワンランク上の人間になったような気がして計子も満足だった。
ハワイから帰るとふたりの日常が始まった。
楽園の余韻など感じている暇もなくハードワークだ。
夜も更けて帰ってきた計子に時男が言う。
「ね、計子。俺やっぱり仕事上とはいえおまえが
他の男と酒飲んだりするのって耐えられないんだよね」
「ばっかじゃないの。私が浮気するとでも思うわけ」
「おまえ酒が入ると淫らだしさ」
「バカ・・・・・・」
「その色っぽい感じがたまらないんだけど誰にも見せたくないじゃん」
「誰にも見せてるわけじゃないのは時男がいちばん知ってるでしょ。
もう、いい加減にしてね。おこるわよ」
「だからひとつだけお願いを聞いてくれないかな」
「なによ」
「酒の付き合いがある日にはこの時計をしててくれないか」
「・・・・・・」
「もともとおまえの金で買ったんだから酔っ払って失くしても
俺は気にしないしさ、女性がこんないかついメンズウォッチしてたら
普通の男なら口説こうなんて気も起こらないだろうし」
「魔除けなんだ」(笑)
「そんなとこかな」
「いいわよ。そんなのお安い御用よ」
「ずっといっしょだよ」
それ以来、夜出かける時。彼女の腕には
重厚なクロノグラフが光っている。
2012年11月01日
彼女の華奢な白く細い手首に巻かれた
腕時計はそれにそぐわないスイス製の
飛行士のためのクロノグラフだ。
「どうしてメンズウォッチなのですか」
「どうしてだろ。好きだから」
多くを語らない、もしくは多くを
語りたがらない時にはそこに
深い事情があるものだとソムリエは
経験上承知している。
「よくお似合いですよ」
彼女はそっと微笑みをかえす。
承知しました、その話はそこでおしまい。
そういう示唆を含んでいる事を
彼女も心得ているからだ。
しかし好奇心旺盛なソムリエはそこで
ふたつのストーリーを思い描くのだ。
10年前のことだった。
彼女には将来を共に歩む事を決めた男性が居た。
かつてはパイロットになりたくて勉強にも
そしてスポーツにも余念のない男で
背は高く体格はがっしりとしているがスマートで人懐っこい。
高校大学時代はバスケットボール部でキャプテンだ。
パイロットにはなれなかったがその風貌と
だれからも好かれ信頼される性分は広告代理店でも
遺憾無く発揮されていた。
彼は独身最後の冒険旅行にチベットを選択した。
「ヒマラヤにどうしても登ってみたいんだ」
「ずっと言ってたもんね。でも寂しいな」
「じゃこの時計を俺だと思って肌身離さず持ってて」
ズシリと重厚な腕時計をはずして手渡した。
「こんな大きなものぐるぐる回っちゃうわよ」
「じゃ帰って来るまで抱いて寝てくれたらいいよ」
受け取ったはいいがなんとなく形見を
もらったような気がして心地悪かった。
どこかに一抹の不安が拭えなかったのだ。
「ほんとうに気をつけてよ」
彼女はしがみつくように彼を抱きしめた。
予感は当たっていた。
彼を見送ってから毎日手を合わせていたのに
残念な事に凍えるヒマラヤの一部になってしまった。
どうして彼を引き止めなかったのか。
腕時計を眺めては涙に明け暮れる毎日だった。
半年ほど過ぎたある日のことだ。
彼女はいつもバッグに忍ばせていたその時計の
ブレスレットを自分のサイズに直してもらう事を決意した。
ジャストフィットしてみるとなんだか気が晴れた。
もはや彼と手をつなぐ事はできないが、なんだか
自分の傍に彼を感じた。
守られているような安心感があったのだ。
「ずっといっしょだよ」
それ以来片時も離れずに彼女の腕には
重厚なクロノグラフが光っている。
もうひとつの妄想は。・・・・・体力切れである。つづく。(かも)
腕時計はそれにそぐわないスイス製の
飛行士のためのクロノグラフだ。
「どうしてメンズウォッチなのですか」
「どうしてだろ。好きだから」
多くを語らない、もしくは多くを
語りたがらない時にはそこに
深い事情があるものだとソムリエは
経験上承知している。
「よくお似合いですよ」
彼女はそっと微笑みをかえす。
承知しました、その話はそこでおしまい。
そういう示唆を含んでいる事を
彼女も心得ているからだ。
しかし好奇心旺盛なソムリエはそこで
ふたつのストーリーを思い描くのだ。
10年前のことだった。
彼女には将来を共に歩む事を決めた男性が居た。
かつてはパイロットになりたくて勉強にも
そしてスポーツにも余念のない男で
背は高く体格はがっしりとしているがスマートで人懐っこい。
高校大学時代はバスケットボール部でキャプテンだ。
パイロットにはなれなかったがその風貌と
だれからも好かれ信頼される性分は広告代理店でも
遺憾無く発揮されていた。
彼は独身最後の冒険旅行にチベットを選択した。
「ヒマラヤにどうしても登ってみたいんだ」
「ずっと言ってたもんね。でも寂しいな」
「じゃこの時計を俺だと思って肌身離さず持ってて」
ズシリと重厚な腕時計をはずして手渡した。
「こんな大きなものぐるぐる回っちゃうわよ」
「じゃ帰って来るまで抱いて寝てくれたらいいよ」
受け取ったはいいがなんとなく形見を
もらったような気がして心地悪かった。
どこかに一抹の不安が拭えなかったのだ。
「ほんとうに気をつけてよ」
彼女はしがみつくように彼を抱きしめた。
予感は当たっていた。
彼を見送ってから毎日手を合わせていたのに
残念な事に凍えるヒマラヤの一部になってしまった。
どうして彼を引き止めなかったのか。
腕時計を眺めては涙に明け暮れる毎日だった。
半年ほど過ぎたある日のことだ。
彼女はいつもバッグに忍ばせていたその時計の
ブレスレットを自分のサイズに直してもらう事を決意した。
ジャストフィットしてみるとなんだか気が晴れた。
もはや彼と手をつなぐ事はできないが、なんだか
自分の傍に彼を感じた。
守られているような安心感があったのだ。
「ずっといっしょだよ」
それ以来片時も離れずに彼女の腕には
重厚なクロノグラフが光っている。
もうひとつの妄想は。・・・・・体力切れである。つづく。(かも)