2006年10月06日

ユトリロの絵のような空

ネット上で流通しているお話・・・  

おすそわけ。

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小学生のとき、足し算、引き算の計算や、
会話のテンポが少し遅いA君がいた。

でも、絵が上手な子だった。

彼は、よく空の絵を描いた。
抜けるような色遣いには、子供心に驚嘆した。

担任のN先生は算数の時間、
解けないと分かっているのに答えをその子に聞く。

冷や汗をかきながら、指を使って、
ええと・ええと・と答えを出そうとする姿を周りの子供は笑う。
N先生は答えが出るまで、しつこく何度も言わせた。
私はN先生が大嫌いだった。

クラスもいつしか代わり、私たちが小学6年生になる前、
N先生は違う学校へ転任することになったので、
全校集会で先生のお別れ会をやることになった。

生徒代表でお別れの言葉を言う人が必要になった。
先生に一番世話をやかせたのだからA君が言え、
と言い出したお馬鹿さんがいた。

お別れ会で一人立たされて、どもる姿を期待したのだ。

私は、A君の言葉を忘れない。

「ぼくを普通の子と一緒に勉強させてくれて、
              ありがとうございました・・・」

A君の感謝の言葉は10分以上にも及ぶ。

水彩絵の具の色の使い方を教えてくれたこと。

放課後つきっきりでそろばんを勉強させてくれたこと。

その間、おしゃべりをする子供はいませんでした。

N先生がぶるぶる震えながら、
嗚咽をくいしばる声が、体育館に響いただけでした。

昨日、デパートのポストカードの中に
美しい水彩画と、A君のサインを見つけました。

N先生は今、僻地で小学校で校長先生をなさってます。
先生は教員が少なく、子供達が家から
2時間ほどかけて登校しなければならないような
過疎地へ自ら望んで赴任されました。

N先生のお家には毎年夏にA君から絵が届くそうです。
A君はその後公立中高を経て、美大に進学しました。

お別れ会でのN先生の挨拶が思い浮かびます。

「A君の絵は、ユトリロの絵に似ているんですよ。
 みんなはもしかしたら、 見たこと無いかもしれない。
 ユトリロっていう、フランスの人でね、
 街や 風景をたくさん描いた人なんだけど。
 空が、綺麗なんだよ。
 A君は、その才能の代わりに、
 他の持ち物がみんなと比べて少ない。 だけど、
 決して取り戻せない物ではないのです。 そして、
 A君は それを一所懸命自分のものにしようしています。
 これは、簡単なことじゃありません!」

A君は、空を描いた絵を送るそうです。

その空はN先生が作り方を教えた、
美しいエメラルドグリーンだそうです。

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お し ま い 。


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コメント一覧

1. Posted by Yuji   2006年10月06日 20:54
◆いいですねー…感謝の言葉、響くなぁ。

 最近友だちになった女性、小学校で発育障害を持った子供を
 専門に受け持ってます。彼女は、首の後ろに小さく、
 "each one, teach one"っていう、タトゥーを入れてます。
 
 どういう意味?って聞いたら、
 「みんな、ひとりひとりが、人に教えてあげられるものを持ってる、
 ってことなのよ」って、言ってました。
 若いのにしっかりした女性で。密かに感動したんだー。
2. Posted by はま   2006年10月06日 23:45
良いお話ありがとう!!
3. Posted by ワインセラピスト   2006年10月07日 01:49
■ "each one, teach one"
 いい言葉だね。全く同感。そう思います。
 全員に価値があるんだもんね。
 Yuji いつもありがとう。



■濱ちゃんに言われると
 そのまま受け取っていいのか?
 今日はコピペで手抜きだね。と言われているのか?
 微妙な気持ちになります。 (笑)
4. Posted by はま   2006年10月07日 09:21
うっ!!(笑)

うちのも、
マジで褒めても
『なんか、裏あるでしょう。』って言われる。

やっぱ僕は、AB型でございます。
5. Posted by ワインセラピスト   2006年10月07日 16:20
■いやぁ〜、それにしても今日は
 風の強い日だね。

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