2008年04月26日

骨ごと溶けるような恋

6d032eb4.jpg昨日の辻仁成に続いて
江國香織である。
「情熱と冷静のあいだ」という
小説を映画上映の直前に
読んだのだが、こいつは
ひとつのできごとを
男性の視点を辻仁成、女性の視点を
江國香織が描くという異色作品である。
それはそれでおもしろかったのだが
当時、江國香織に関しては
さほど興味をそそられなかった。

神様のボート

この本は、タイトルが神秘的であり語感が素敵なわりに
なんじゃそりゃ感をそそったので、その存在を昨夜知って
即書店に走った。結論を言えば江國香織は才能溢れる
小説家であり、この本は、このうえなく面白かった。

主人公は、葉子とその娘の草子。
草子が小学4年生のところから物語りは始まる。
父親のいない家族の愛と成長のドラマであり
「情熱と冷静のあいだ」ではないのだが
母親の視点と娘の視点というふたつのこころの動きが
時間軸に沿って展開されており、深い愛と利己と利他
親離れ子離れ、人間の成長の様子をとても的確に描写しており
感情のすれ違いなどにも巧みな設定がなされている。
ふたりともの気持ちになって、読者の私までもが
そのもどかしさに涙してしまったのである。
もちろんそれは深い深い親子愛ゆえである。

江國香織のあとがきによれば「私の書いたもののうち
いちばん危険な小説」なのだそうだが
私は、葉子に共感するし、素敵な人生だと思う。
昨夜書いた「サヨナライツカ」の沓子とつうずるものがある。

それは、人生には忘れられない恋がかならずある
そしてそれが自分の人生を支配してしまう
しかしながら、ただ支配されているわけではない。
支配されることを能動的に積極的に選択している潔いクレバーで
清潔なうつくしい女性なのであり、会ったら
間違いなく恋をしてしまいそうである。
なるほど確かに危険だ。

そして、この本に影響を受けて、葉子や
「サヨナライツカ」の沓子のように
生きてしまったなら、もっと危険だ。
骨ごと溶けるような恋をしてしまうのはコインの両面なのである。

budoubatake at 00:33コメント(6)トラックバック(1)座・読書  

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1. 神様のボート  [ Each day just goes so fast… ]   2008年04月26日 00:55
本を読みたくなる時って、 単語やセリフや言葉の持つ意味に頼りたくなる時なのかもしれない。 音楽は… 音を拾う時や練習の時に聴くのは別として、 普段、音楽を聴くということは、“日常”だから、意識しない。 無意識に呼吸をしてるのと一緒かな。 大切だし、いっぱい助...

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1. Posted by ロレッタ   2008年04月26日 00:54
こんばんは
今、続きから途中まで読みました。
そう、チビチビ飲んで…いや、読んでます

数年前、本屋で、
タイトル見て、手にし、パラパラっとだけ読んで、
「読みたい!」っていうか、読まなきゃって直感したんです

そして、一気に読んだ記憶があります。
早く読んで“ラク”になりたかったような感覚...。

で、今回は、じっくり、大切に…
この中に、ゆったり漂っていたい、そんな感覚でして…
だから、チビチビ、いってます

ワインセラピストさんが書いてくれた事で、
私の読中感想が、スッキリ整理されて、これまた、居心地良しです。

ありがとうでっす。
2. Posted by ワインセラピスト   2008年04月26日 01:30
■あー、わかるわかる。
 ラクになりたいそのかんじ。
 もうさ、次の展開が気になって仕方なくて
 私もいっきに読みました。
 途中からは葉子の事が気がかりで
 寝てる場合じゃないってかんじでさ。(笑)
 ロレッタさんのように、時間を置いて
 もういちど読み返すと、なにげない
 親子の会話に重さを感じてしまうかもね。
 そちらのブログで本のタイトルを見た瞬間
 もう読む事に決めてました。
 ありがとうございましたーっ!

3. Posted by Lilia   2008年04月26日 08:07
日本語の小説、よみたいっす♪
しかもこの本、とても興味そそられますね。
私も母とはすっごく親しいんですけど、
ものすっごく親子として幼いときから
いろんな葛藤がありまして・・・。

日本に帰るとかならず、本屋によるのですが、
あっ・・・
その時に買って読んでない本がたくさんあるっ!
今日はビーチにいって波の音聞きながら
読書にふけろう!ん〜、ナイス!
いってきまーす♪
4. Posted by Dakko   2008年04月26日 13:07
ワインさん、本の世界で恋してますね

お大事になさってください笑
5. Posted by ワインセラピスト   2008年04月27日 17:02
■Lillia ちゃん、そうでしょ?
 そう思ってある日、ハワイで古本屋を始めたら
 楽しいかな?なんて考え付いてさ
 やるならワードセンターだな。
 それぞれのホテルのおばちゃんに
 日本人の捨てていった雑誌を1ドルで買い取る
 って契約をしたら、結構な売り上げになるぞ!なんてね。
 でも、思うことはみな同じで
 ワードセンターにブックオフがあるのね。
 立地まで同じ発想とは驚きでした。
 休日、読書にフラにヘルスバー。
 最高のハワイライフですな。
 でも油断せずにお大事にねーっ!

6. Posted by ワインセラピスト   2008年04月27日 17:05
■Dakko ちゃん、そう恋の病で・・・
 熱しやすく、蒸発しやすいタイプです。

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