2010年03月27日

dfbc3191.jpg『スイートリトルライズ』江國香織
映画化とのうわさを耳にして手に取った。
おとなになると、「嘘」ってのは
自分を正当化するためのものというよりは
相手のためのもの、なんだよね。
でも、その相手もこどもじゃないし
百戦錬磨なわけでお見通しの場合が多い。
そんな「嘘」をテーマに江國香織が
どんな小説を書くのか興味を持ったのだ。
しかし、私的にはしんどかった。
登場人物のキャラクターの設定には
理解を示せるのだが、そのなかの
誰にもシンパシーを感じる事が出来ないので
感情移入できず、ずんずん物語が過ぎるだけなのだ。

「不倫」ってのがテーマなのかな。
『恋するために生まれた』の中では
江國さんは「密通不貞」ということばの方が好きだと言っていた。
そこには激しく同感である。
このストーリーも密通の雰囲気が醸されていた。
つまりペリカン便である。
いや、それは日通だった。

江國さんの小説は、読むたびにこの人って芸術家肌なんだなと思う。
つまり、毎回同じ事は絶対にしたくないし、テーマを持って
作品にチャレンジしている事がよくわかるのだ。
この作品においての裏テーマは場面展開のスピード感、だろう。
TVドラマを見る感覚で小説を読め、という事だ。
その良し悪しは別として、彼女のその気質が気に入っている。

最後に芳村思風先生の言葉を。
『嘘を責めてはいけない。なぜ嘘をつかなければならなかったのか?
その原因を察し理解する事が大事である』

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コメント一覧

1. Posted by ふみくん   2010年03月27日 12:34
5 まあくん、こんにちは。
僕は映画を見た後、小説を読みました。

「場面展開のスピード感」、よくわかります。
出会って間もないのに、ベッドの中で向かい合う、妻とその愛人。
もう少しゆっくり進んでいくつながりかたも、あるかなと思います。

個人的には、映画の方が感情移入できました。

『書いたことではなく、書きたかったことを視覚化されていて愕然とした、というのが正直なところです。
一体どうして、こんなことができたのかわかりません。
小さな、美しい映画。』

江國香織さんが映画のプログラムに寄せたメッセージです。
2. Posted by ワインセラピスト   2010年03月27日 17:32
■最近、ふみくんとの交換日記を書いているようで
 なんとなく周りから怪しまれていないか心配です。(ウソ)
 
 読んでから映画の予告編を観ましたが
 しほは若すぎて妙な感じがしました。
 そこに違和感はなかったのかな。
 瑠璃子はナイスキャスティング。

 映画化しやすかったんじゃないでしょうか
 原作がすでに脚本のような形態をとっているのでね。

 サラッともシットリも、ネチっともしていない密通。
 私としては、トリカブトで心中して欲しいです。
3. Posted by Ako   2010年03月27日 18:43
密通からペリカン便とは…やられました。(笑)

>「嘘」ってのは
自分を正当化するためのものというよりは
相手のためのもの、なんだよね。

嘘はつかないに越したことはないけれど、嘘をつかない人などこの世にいない。
All people can do is try not hurt others, I think.

Funny yummy mummyを目指します!

4. Posted by ワインセラピスト   2010年03月27日 22:35
■That's all right.

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