2010年05月07日

LPレコードのような佇まいなのだ (ひさびさの長文になってしまった)

e9825f94.jpg「1Q84 BOOK 3」を今朝読破した。
2週間もかかったぞ。
っつーか、ハワイに行ってたし
お店の改装をしながら
よくぞ!と自分を褒めている。
いやぁ、おもしろかった。
直訳風に言えば、興味深い内容だった。
ストーリーの流れなんてどうでもいいのである。
この中に描かれているのは哲学であり
人類永遠のテーマなのだ。
「生と死」「魂」「時の概念」そして「愛」、であり「使命」だ。

人はどこから来てどこに行くのか。
いったいぜんたい、何の為に生まれてきたのか。
そういった根源的な疑問を
”みんなが思ってるんだよ、君だけじゃない”
そんな風に語りかけられているような気がした。

なぜならば、この数年にわたって私はそういう
疑問に応えられる人間に成りたいと、真剣に考え
それにまつわる本を手当たり次第読んだし
いろんな人と語り合ったので、村上春樹氏が
いったいどんな本やどんな類の事柄に興味を示し
深く掘ったのかが、よくわかるのだ。

<ここからは、読んだ人のみ侵入を許可する>

そして私も村上春樹氏同様に、結論など出なかったのであり
「今を一所懸命に生きてたら、かならず報われる」
それが到達でき得た終着点であり結論ではない。

つまりHow to なんてものはなくって
十人十色、千差万別の価値観があるのであり
結論であって結論でないし、一般的にわかり易くはないかも知れないが
とどのつまり我々は生かされているのである。

「今を一所懸命に生きてたら、かならず報われる」とはいえ
もちろん、登場人物には、それこそ命懸けの毎日なのに
報われず消えていく人も居るのであるが
それもまた因果応報なのであり、真理だ。

そして、それが報われたのか否かも
じつは他人からは判断などできないのである。
「使命」つまりこの命、何のために使うか、は
今生のその人の「魂」にしかわからない事柄なのである。

「僕の前に道はない、僕の後ろに道はできる」
「出逢う人には必ず出逢う。それも一瞬早くもなく、一瞬遅くもなく」
高村光太郎や森信三を引き合いに出すまでもなく
悟った人の言葉は、永遠に生き続ける。

「The secret」などで言う引き寄せの法則や一連の
成功法則や運命本などすべてを結論付けてみるならば
結局は、「今、ここ」をどう生きるかなのであって
「今、ここ」に、どう幸せを見つけられるか、って
それだけなのである。
それをいろんな表現をしてるだけ、だ。

霊能者だとかヒーラーだとかセラピストだ、などというのは
所詮、同じ穴のむじなというのが私の結論であり
100人居たら、そのなかに本物の預言者はいいとこ1人しかいないだろう。
それが私の実感であり、たまたまその「ひとり」に
出会ってしまったから、すべてを否定はできないのであり
「本物」って何を以って本物なのかと言われたのなら
それもまた直感でしかないのでうまく説明できない。
それは村上氏も同じである。

村上氏も結局は、誰ひとり必要でない人間(や物質)などいない
すべてが曼荼羅のように複雑に絡み合っているのであり
そこには善も悪もなく、ただ存在しているだけで価値がある、と
そう言っているように感じた。

以前、Yuji から教えてもらったすてきな言葉。
”Each one、 Teach one”
まさにそういう事なのではないのか。


1,2とは、まったく違う作風で作られたこの3作目。
あそこまで大ヒットを仕掛ける意味は、ここにあったのか、と
あらためて、村上春樹、あっぱれ!である。

つまり、この本は、リアルタイムで読まなけりゃ
あまり意味がないのだ。

数年後に文庫本として1,2,3とまとめて出版されても
今回、リアルタイムで読んだ人との感じ方の差は
あまりにも大きいのではないのか、と推測される。

村上春樹はアナログレコードの世代だから
言ってしまえば、こいつはLP2枚組の大作なのだ。

一枚目のA面を聴き、ひっくり返してB面を聴く。
その余韻を感じながら2枚目に移行する。
そういった一連の所作を連想させるのである。

一部マスコミが報じているように、売り上げを乗せるための
そういう手法なのではなくて、村上氏はファンタジーという
手法は用いつつも、「今、ここ」にある危機に対しての
警鐘を鳴らしているのだと思う。

つまり、新興宗教や成功本、開運本やスピリチュアル系など
それで救われる人もいるが、そんなものを崇めたりするより
目の前の事柄に、一所懸命になりなさい、と
そんな事柄が必要となってしまった大衆に対しての
アンチテーゼなのだと感じた次第だが、おおいに反論が
期待できそうだな、あはははは。

あと、もうひとつ蛇足を承知で言わせてもらえば
本ってのはとてもセンチメンタルなメディアだ。
つまり、あと数ページで終わってしまうってことを
指先で感じてしまうから、だ。

DVDであれば、何分の映画で今何分経過、って調べる気になれば
た易いのだが、あえてそれをせずに観る派の私にとっては
少なくなるぺージ数は恐怖にも似た感覚を呼び起こす。

いつまでもどこまでも村上春樹の世界に浸っていたい、と
指先の少しずつ薄くなる瞬間に感じたこの感覚を
わかる人はどんくらい居るのだろうか。

読破するための大作ではない。
一行一行に、一語一句に込められた彼の魂を
味わうための大作なのであり、LPレコードのような佇まいなのだ。

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コメント一覧

1. Posted by にこにこ。   2010年05月07日 08:43
今 第三巻 の半分前くらい。
たぶん週末に読み終わると思うですが。
ほとんどすべての 春樹氏の作品呼んでいますが
長編では一番おいらにFITすると思います。
と カフカ 呼んでいる時も思ったかもしれないですが。

2. Posted by ワインセラピスト   2010年05月07日 16:49
■ノロケンゴさま、ありがとうございます。
 読み終えるのが惜しくなる作品ですので
 どうぞ、ゆっくり噛み締めてください。
 そろそろ歯茎から血が出るお年頃ですね。
 ご自愛くださいませ。
3. Posted by Ako   2010年05月07日 17:36
"Reading is a basic tool in the living of a good life." 誰かが言っていました...
4. Posted by ワインセラピスト   2010年05月07日 22:21
■ living is easy with eyes closed 誰かが言っていました...

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