2011年01月17日

ダブル・ファンタジー (二色の幻想)

169383b0.jpg村山由佳『ダブル・ファンタジー』を読んだ。
「おおしまさんには絶対読んで欲しいのよね。
だって、ここまで赤裸々に女性の性を
ちゃんと書いた本を私は初めて読んだから」
そこまで言われたら読むしかないのだが
念のために書店に行って手に取ると
辞書のようなブ厚さなのであり裏表紙には
痩せた全裸女性の恥丘があり適当に
ページをめくってみれば濡れ場ばかりである。
恥丘防衛軍であるウルトラ警備隊の私としては
瞬時にレジに立っていた。検品である。
ほんのり赤面していたかもしれない。

さて、ご存知のとおりジョン・レノンの
最期の録音となったアルバム「ダブル・ファンタジー」を
連想される方も多いと思うがまさしくそこがこの小説の発端だ。

<まだ読んでない方は以下、立ち入り禁止>

8c884af0.jpg

村山由佳はこのジョンのアルバムをP.423でこう表現する。
「どれほど愛し合っていても男と女はじつはまったく
別のものを見ているのだという真実をあんなにも
くっきり浮き彫りにしてみせたアルバムはなかったのではないか」
そこがこの本の原点である。(たぶん)
だってジョンの遺作をそんなふうに思って聴いてる人は
少数派だと思うし、私なんぞはヨーコの曲に関しては
最初に一度、そう17歳の冬からいちども聴いた事がない。

私の印象では衝撃的な官能作品というのとは異なり
ひとりのアラフォー女性がトラウマを自らの手で
克服していくドラマなのでありこころの解放と
肉体の解放によってそれは徐々に成し遂げられていくから
官能的な表現は避けられなかったものと思われるし
週刊文春での連載という意味でも必要不可避だったと考えられる。
「母の娘」から脱皮していく過程を描いていて
ひとりの女性が依存から自立していく様は小気味良い。
ま、何かを得ると言うのは何かを失う事でもあるのだが。

そして「禁忌」というのも裏のテーマで脈々と流れ
ひとの成長と肉体の開発がおなじグラフを描くと云う
タブーに迫っているのもこの作者の挑戦なのだと思う。
なかなかおおっぴらに公言できない話だが共感できる。
性的に未熟な女性はこころも未熟である場合が多いのだ。(当社比)

ファンタジーと言えば性交渉の場での男性への
言いたいけれども言えない言葉もいとをかしである。
ひょっとしたらこの本を紹介してくれた女性の
共感部分なのかもしれないのだが
ここはおおいに笑ったのだけれど、じつは紙一重だと思う。
主体の感受性によって結果は大きく異なるからだ。

ふた色の幻想によってこの本は構成されていて
良かれと思っている自分のセックスがじつは
女性からは疎んじられていたりイマイチ君だったり
するかも知れないので男性諸君は読んでみるといいかも知れないし
メールの書き方も勉強になるかも知れない。
男性が知っておくべき事は主人公のつぶやき
P.112「そうか、こんな私でも定員は1名なのか」だ。
これに関しては多くを語れば邪推を招くので語れない。

帯に書かれていることば「ほかの男と、した?
俺のかたちじゃなくなってる」これを見て
えっ?!そんなかたちでわかっちゃうの?などと
ビビってる女性もいるかも知れないが、それは表現に過ぎず
セックスの上手な男ならは相手のどんな機微も見逃さないので
好きな女の事なら微小なレスポンスの差でわかってしまうって事である。
この帯のせいで買う人もあればレジに行けない人もいるわけで
リトマス試験紙のようだと思ったぞ。
私は赤面したので賛成(酸性)である。

やはり私の読み方捉え方はアマゾンの数々のレビューとは
全く違う見解なのであり、そちらもご参考にどうぞ。

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コメント一覧

1. Posted by pooanh   2011年01月16日 23:43
表紙の脚も色っぽいです…

名古屋に住んでいたら、私も、回し読み仲間になれたのになぁ…
2. Posted by Ako   2011年01月17日 01:16
Sounds quite interesting.

今日も読んでて感じました。
おおしまさんのオリジナリティーとダイレクトさは沢山の人に賞賛されると思いますが、それに加えてとてもインスピレーションなんですよねぇ。

Hope you will have a nice b'day.
3. Posted by ホヌ・マハ郎   2011年01月17日 02:44
■pooanhと改名されたのですね。(笑)
 買ってまで読む本ではないような気もするので
 よかったら図書館で借りてみてください。
 読み物としておもしろいですよ。
4. Posted by ホヌ・マハ郎   2011年01月17日 02:47
■Akoさま、インスピレーションなのかな。
 感じ方が万人的でないだけかもしれない。

 今夜は雪の中にもかかわらず
 いい仲間に祝ってもらいました。
 ハッピーです。
 Akoちゃんも、ありがとう。
5. Posted by ふみくん   2011年01月17日 07:16
こんにちは。
あらためて happy birthday!、おめでとうございます。

『ダブルファンタジー』は、刊行当時とても興味を持って読みました。
(mixiの2009年1月12日日記に感想あります)

「先輩・・・私と・・・友情のエッチ、しませんか」
P.291の言葉が印象に残っています。

村山由佳さんは『星々の舟』もいいですよ!
6. Posted by LM   2011年01月17日 08:21
WHITE HAPPY BIRTHDAY!!
おめでとうごうございます



『ダブル・ファンタジー』
僕も読んでみよっと、、

7. Posted by poohan   2011年01月17日 09:34
ありゃりゃ、小説の内容に踊らされて、名前も踊ってたみたい

マハ郎さまお誕生日おめでとうございます
8. Posted by テス   2011年01月17日 15:55
お誕生日、おめでとうございます♪
今年も面白セクシーなホヌマハ郎さんでいてください!
ホヌマハ郎さんのブログは100%読ませていただいているのですが、パソコンの調子がイマイチの為、携帯から潜入しているので、書き込みが出来ず読み逃げしています(汗)
久々に繋げれた時に、Happy birthdayが言えてちょっと嬉しいです(*^-^)
9. Posted by yumi   2011年01月17日 15:59
お誕生日おめでとうございます
幸せで楽しいことがたくさんある一年になりますように。
今日はお母さまと食事でしょうか。
大雪のため、今日は一歩も外に出てません
10. Posted by サワ&キョーコ   2011年01月17日 16:46
マハ郎さま HAPPYBIRTHDAYでございます 
Gentlemanマハ郎さまにたくさんのHAPPYがありますよーに☆彡 
゚+。(*′∇`)。+゚おめでとうございます

来週の日曜日にお伺いしまぁす
11. Posted by ホヌ・マハ郎   2011年01月17日 16:56
■友情のエッチが印象に残ったとのカミングアウト
 ふみくんはきっとその後数回使用したと見ました。
 でなけりゃ2年も前に読んだ小説のセリフ覚えてないもん。
 あれれ?図星?(笑)

 単純に読み物としておもしろいですよね。
 電車の中とかじゃなくって、今日はオフ!
 そう決めた日にじっくりまったり読んでみる。
 1本の映画を見るように時間をあけず完読するのがお薦めだな。

 <ふろく>
 ふみくんはこういう状況の方々にお薦めしたいそうです。
 ・悩んでいる30代・40代の人
 ・「秘密の恋」の手前で迷っている人
 ・もっと快感を知りたいという、向上心のある人
 ・生まれ変わりたい人

 私的には3番目の向上心に爆笑!でした。
12. Posted by ホヌ・マハ郎   2011年01月17日 16:59
■LMさまありがとうね。
 ジョンに反応しちゃったのね。
 時には読書にどっぷり浸かってみるのも
 気分転換になるからこのボリュームはお薦め。
13. Posted by ホヌ・マハ郎   2011年01月17日 17:00
■poohanありがとう。
 ハッピーです。
14. Posted by ホヌ・マハ郎   2011年01月17日 17:01
■テスちゃんありがとうね。
 ってPC買ったばっかりじゃなかったっけ?
 
15. Posted by ホヌ・マハ郎   2011年01月17日 17:05
■yumiちゃんありがとう。
 先日スイッチオンができないってブログに書いたら
 「それはねちゃんとスイッチオフしてないから
 オンもできないんだよ、オフしちゃいな」
 そう言ってくれたお方がおられて「なるほどな」と。
 それで土曜日はおやすみにしてこの本に
 どっぷり浸かりました。
 家から一歩も出ない日。
 何も考えない時間がときには必要ですね。
16. Posted by ホヌ・マハ郎   2011年01月17日 17:07
■サワ&キョーコさま、ありがとう。
 こういえば年末にめずらしく会ってないんだね。
 本年も宜しく。
 日曜日楽しみにしております。
17. Posted by hawalele   2011年01月17日 17:48
誕生日おめでとう!

ダブルファンタジー・谷川俊太郎に通じますか?

18. Posted by ホヌ・マハ郎   2011年01月17日 17:56
■あはは、hawaさん
 意外なパンチを繰り出しますな。
 谷川俊太郎は「空の青さを見つめていると」という
 詩集を一冊読みかけてそのままなので
 彼のキャラクターをよくわかっていませんが
 私の中でこの対比はかなりウケました。
 ありがとうございます。
 昨夜の名古屋は岡谷に負けないくらいでしたよ。
 先週はお疲れさまでした!
 昨夜ふたたび前向きな反省会しましたよ。
19. Posted by AKI33   2011年01月17日 23:08
>恥丘防衛軍

そんな字だとは・・・。

この本を薦めた人との関係に注目したい・・・。

なにはともあれ、おめでとうございます。
20. Posted by サワ&キョーコ   2011年01月18日 00:04
スックサンワングート!(タイ語でハッピーバースデー)
今年はぜひまたタイに来てください!そしてブログでタイ特集を掲載よろしくお願いします!
21. Posted by ホヌ・マハ郎   2011年01月18日 00:27
■寒いところがお好きなAKI33さま、どうも。
 さすがに見逃さないですな。
 それどころか意外に責め好きですな。ふふ。
 
22. Posted by ホヌ・マハ郎   2011年01月18日 00:28
■あはは、サワ&キョーコさま。
 それはあなたたち次第です。
 ありがとうね。
23. Posted by HIRO   2011年01月20日 00:21
早速の感想文ありがとうございます。
なのに、自分でオススメした本を忘れちゃダメですよねえ(笑)


「自由であることはどこまでもさびしい」

私の中での名台詞でしたっ。
誰を求めても、何を求めても、
結局、ここにたどりつくんだと、。


で、このストーリーの映像化にする場合のキャスティングの
ホームワークですが。

悩みました〜。

志澤:麿赤兒
岩井:境雅人
大林:大森南朋
奈津:板谷由夏(イメージより美人すぎるけど...)

どおでしょう??




24. Posted by ホヌ・マハ郎   2011年01月20日 02:59
■HIROちゃんありがとう。
 あなたの薦めてくれる本はおもしろいよ。
 自分じゃ絶対本屋で手に取らない本だから。
 私が映画に出演するとしたら大林が希望だけど
 いちばん最初に出てくる男になりそう。(笑)
 お坊さんはぜったいイヤだな。(笑)
 
 省吾:本木雅弘
 志澤:山崎努
 岩井:吉岡秀隆
 大林:金子賢
 奈津:広末涼子・木村多江あたりが希望だけど
   酒井法子・沢尻エリカの復帰作としてもいいかもね。
   ただ4人とも受けないと思うけど。(笑)  
25. Posted by HIRO   2011年01月20日 23:51
大島さん、さすがいいセンスしてますね。
私も志澤は山崎努もアリかもって思ってました!
でも、本当はもっと無骨な感じの人がイメージだから
書かなかったんですけど。

あと、木村多江もいいですね。
あると思います☆
彼女は内に秘めたものが感じられるので
奈津の心の闇を表現できそう。

またこの続きはワインと一緒に、しましょ。
26. Posted by ホヌ・マハ郎   2011年01月21日 16:00
■ワインと一緒に・・・ 

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