2013年04月24日
大きな玉ねぎの下で

洋食屋さんのカウンターで
ひとりハンバーグを食べていた。
おとなりの常連らしきおばちゃんが
仕込みをしてる店主に話しかける。
「ねぇねぇ、玉葱をみじん切りしても
目が痛くないの?」
「長年やってると慣れっこだわさ」
私は知っている。ウソである。
彼のまな板のうしろにはストーブがあり
換気扇が回っているのだ。
そんなことにも気付かないおばちゃんも
おばちゃんだが、しゃぁしゃぁと
話す彼にも驚いたのだ。
今思えばひょっとしたら彼自身も
気付いていなかったのかもしれない。
今は新玉ねぎ。
剥くたびにせつなく
ほんのりと涙がこぼれるのである。
慣れるわけないじゃん。である。
涙ながらに時折あの時を思い出す。
指摘した方が良かったのではないのか、と。